あきらかに、ネスは焦っている様子だった。
「パッパカッ!! 、パッパカッ!!」
足音がだんだん大きくなり、徐々にこちらに近づいて来ていることが分かる。ネスは、腰にぶらさげた袋から “黒い T シャツ” を取り出して、
「はやく この T シャツを きてください!!」
とボクに差し出した。
見ると、黒い T シャツの胸には白いドット文字で、
「へんじがない。 ただの しかばね のようだ。」
と書かれている。なんで着なくてはならないのか、考えるすきもなく、言うとおりにした。
すると、ネスは地面に倒れるように寝そべり、
「しんだふりを してください! やつらが きます!」
とおびえるように言ったので、ボクも、その様子から慌てて死んだふりをした。
「パッパカッ!!!! 、パッパカッ!!!!」
そして……
ついに足音が止まり、目の前に音の主があらわれた。
張り詰めた空気の中、馬の息づかいだけが聞こえる。ボクは、恐る恐る薄目をし周囲の状況を確認すると、そこには、天井ギリギリなほど大きな馬にまたがった、黒騎士が 4 体、こちらの様子をうかがっていた。
(いかにも強敵っていう風ぼうじゃないか)と思ったボクは、緊張のあまり無意識に「ゴクッ」とつばを飲み込んだ。
それに気づいたか、1 体の黒騎士がボクに近づいて来る。と、次の瞬間、
「にげろ!!!!」
とネスが大声で叫んだ。すぐさま、
「ボクたちは にげだした!」
「しかし まわりこまれてしまった!」
黒騎士は、勢いよく長い槍を振り回す。「ザザザザッドン! つうこんの いちげき!」
すごい音と同時に、無防備なボクらを壁まで突き飛ばすと、全身に激痛が走り、意識を失ってしまったのである。
TO BE CONTINUED…
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