今回は、「理想とする作品のウケ具合」について思うこと。
作品を創る者にとって 「万人ウケ」が最大理想だけど最大否定でもある。
理想とする作品のウケ具合
テレビ番組『ETV8』で、アニメーション監督の「富野由悠季氏」が「理想とする作品のウケ具合」について語っていた。
以下、インタビュアーの質問内容「富野作品を誰に観て欲しいのか??」についての回答。
【要約】
大人の僕が喋ってることを もし興味を持ってくれる子供がいれば その子供 それから老人 つまり まさに全方位です。 それが最大の理想です。 と同時に 逆に最大否定でもある訳です。
対象っていうものは たえず全否定か全肯定しかない。 その中で 1万人いれば その内の10人 2万人いればその内の50人 絶対に分かってくれるだろう。 というのがあるからです。
言いたいことは ウソは付いちゃいけない 最大限その時思っていることの 半分以上は やっぱり吐き出すべきなんだ。 それがつまり 作り手の使命とは言いませんが 立場じゃないのかな。 そうじゃなければ 作家になっちゃいけない と思います。
Via:富野由悠季『ETV8』 NHK 1985年放送
注目したい部分が「最大の理想です。と同時に、逆に最大否定でもある訳です」
ようするに、万人にウケる作品でありたいけど、万人にウケる作品では、すでに「たいしたものじゃない」「目新しさがない」作品ってことだ。深いね~。
作品創りのきっかけ
「万人ウケする作品」にしたいけど、「それじゃつまらない」。作品を創ろうとする者にとって、常に葛藤するところかも……。
でも、その “葛藤” こそが、「作品創りのきっかけ」になっているんじゃないかとも思う。
自分自身も、このブログを創ろうとした時は、色々葛藤した訳で……「分かってくれるかな、これ」ってねー。
この記事を書いていたら、以前テレビでやっていた「CM制作会社」のことを思い出した。ある企業からの依頼でCMを作ることになったんだけど、その企画プレゼンの時、企業側は「万人ウケするCM」を望んだのだけど、制作会社側は、「それじゃ目新しさがない」っていう攻防シーンがあった。
やはり、この「譲れない気持ち」ってのは「作り手」の本質的な感情なのかもしれないな。
経験値を、それぞれ獲得した!
作品を創る者にとって、「万人ウケ」が最大理想だけど最大否定でもある。「万人ウケする作品」にしたいけど、「それじゃつまらない」その “葛藤” こそが、「作品創りのきっかけ」になっている。
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