── 修行を開始してから、8 ヶ月の月日がながれ……。
いつもはおちゃらけている八仙人。けれど、今回は真剣なまなざしで語りだした。
「えいいち、ネスよ! とうとう修行の成果を発揮するときがきたぞ! わしが製道で学んだことを記した秘伝書 “トイクロSAGAの書” が、このファミカセの中に保存されておる」
八仙人は、おもむろに「金色のファミコンカセット」を取り出した。
「その内容は、製道を習得するうえでかかせないのじゃが……起動するのに “一つ試練” がある!」
「試練とは、どんなことなのですか??」
ネスが問いかけた。
「ふむ……起動するには “トイクロ” すなわち “玩具(トイ)とシンクロ” せねばならぬ。シンクロが中途半端じゃと、カセットをファミコン本体に挿しスイッチをONにしても、バグって起動せんのじゃよ」
と、八仙人は腕を組んだ。
「何かコツなどないのでしょうか??」
ネスの問いに、八仙人は目をつぶって、
「それは “おのれの固定概念を打ち崩す” ことじゃ。さすれば、バグなしに起動できるじゃろう!」
と。。。
「わかりました。まず私が挑戦しましょう!」
ネスは一歩前に歩み出た。
「よかろうっ!! やってみるがよい!」
八仙人は、ネスにファミコンカセットを手渡した。しばしの間があったのち、ネスはファミコンカセットの下部にある接続部に、
「フッ!!」
と勢いよく息を吹きかけ、ファミコン本体にカセットを挿した。そして、精神を集中し、
「うつれっ!!!!」
と、スイッチをONにした。
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「ピー」という音と共に、モザイク調の画面が表示された。
「これは、バグじゃな」
と、八仙人がつぶやいた。
「次、えいいちよ、挑戦してみよ!」
「はいっ!」
がっかりしているネスを尻目に、ボクはファミコンカセットを受け取り、ネスと同じように、「フッ!!」と息を吹きかけ、本体に挿した。すると、一連の動作で「幼少期の記憶」がよみがえってきた。学校帰りにナカザワ君の家で、ファミコンに明け暮れた日々の記憶だ。プレイしているのは『ドラクエⅢ』、勇者にはナカザワ君の名前、遊び人にはボクの名前が……
〝そう、まさにボクらは冒険してたんだ! いけるっ!!!!〟
ボクは、力強くスイッチをONにした。
「タラララ、タラララ、タラララ、タラララ、タ~~ラン♫」
というBGMと共に、
「おきのどくですが トイクロSAGAのしょ 1ばんは きえてしまいました。」
の文字が表示された。
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「な、なんてことじゃっ」
八仙人は開いた口がふさがらない様子。とりあえずボクは、
「すんません」
と謝った。
その後、八仙人はいつもの表情にもどり、
「まぁよい、これからは自分自身の力で “トイクロSAGAの書” を作りあげるのじゃ。より修行になるぞ!」
と、背を向けた。そして、八仙人が両手をあげると “光に包まれた紋章” が現れた。
「これは “8bit Childrenの紋章” じゃ。きっとこの先、役に立つじゃろう」
ボクとネスは、
『8bit Childrenの紋章を授かった』
こうして、製道を習得し「製道士マスター」になるべく、“トイクロSAGAの書” 作りがはじまったのである。
TO THE NEXT STAGE…
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